ILSAC GF-7およびAPI SQ エンジンオイル規格

ILSAC GF-7およびAPI SQへの更新の準備は万全ですか?

ILSAC GF-7およびAPI SQは単なる新しい規格ではなく、現代のエンジン技術の進化と厳しい環境要件に対応するために開発された、次世代のエンジンオイル規格です。

ILSAC GF-7およびAPI SQ規格の概要と発効

適用開始日:2025年3月31日

粘度グレード:
ILSAC GF-7:

GF-7A: SAE 0W-20, 5W-20, 0W-30, 5W-30, 10W-30
GF-7B: SAE 0W-16

API SQ :

低粘度:ILSAC GF-7の要件を包含しつつ、SAE 0W-8, 0W-12といった超低粘度オイルもカバーします。
高粘度:5W-40、10W-40、15W-40、20W-50等の従来から設定のある高粘度オイルもカバーします。

API SQの「Resource Conserving」表示を持つオイルにおいてILSAC GF-7と要件が整合します。

ILSAC GF-7およびAPI SQに必要な性能と要件

1. Aged Oil(劣化油)におけるLSPI(低速時早期着火)抑制性能の強化

新試験 Sequence IX(Aged Oil LSPI防止試験)の導入。
酸化や燃料希釈により劣化したAged OilがLSPI発生に与える影響を評価するために設計された試験で、オイル交換サイクルを通じたLSPI抑制性能が求められます。
GF-6からLSPI試験の導入により、海外市場でのLSPI関連のエンジントラブルは大幅に減少しました。しかし、実際の使用環境では、様々な劣化要因にさらされます。
GF-7では、実際のエンジンで長期間使用され、劣化が進んだAged Oilでも、LSPIを効果的に抑制する能力が維持されていることが不可欠です。
(マキシマムイベンツ8MAX、アベレージイベンツ5MAX)

LSPIは、カルシウム/マグネシウム系デタージェントの比率、および特定の酸化防止剤や摩擦調整剤の配合バランスに強く依存すると言われています。
GF-7/API SQでは、これらの成分レベルの精密な最適化が不可欠です。

LSPI(Low Speed, Pre-Ignition)について参考動画
▶Lubrizol Additives 360

2. 燃費性能のさらなる向上と持続性

Sequence VIE燃費試験において、GF-6A/SPよりも厳しい燃費改善率が求められます。
具体的には、新油で+3%以上、使用済み油で+1.4%以上(SP基準との比較)といった改善目標が設定されています。
こちらは自動車メーカーが直面するCAFE(Corporate Average Fuel Economy:企業平均燃費)規制という極めて重要な法的要件への対応を直接的に支援するもので、この厳しい規制環境下で車両全体の燃費効率を向上させるための、不可欠な要素となっています。

低粘度基油や高精製基油の採用に加え、MoDTC等の摩擦調整剤の性能向上と長期的な持続性確保が不可欠です。

3. ピストン清浄性および熱安定性の向上

Sequence IIIHピストン清浄性試験の合格基準がGF-6A/SPよりも厳格化されます(ピストン堆積物4.6WPD以上)。これは、高温スラッジやワニス生成に対する優れた抑制能力を要求します。

高温耐性を有するデタージェントや、高分子分散剤の強化、および高温酸化安定性に優れた酸化防止剤の採用が重要です。

4. タイミングチェーン摩耗保護性能の強化

Sequence X試験におけるタイミングチェーンの摩耗限度がGF-6A/SPよりも削減される目標が設定されており(チェーンの伸び率が0.085%以下から0.080%以下に低下)、より厳格な摩耗保護が求められます。

ZnDTPの最適化に加え、MoDTCなどの摩擦低減剤や摩耗防止剤の相乗効果を利用し、金属表面の保護膜形成と維持能力を高める必要があります。

タイミングチェーン磨耗(The Chain Wear Test)についての参考動画
▶Lubrizol Additives 360

5. SASH Limit(サルフェートアッシュ(硫酸灰分)規制値)の厳格化とGPF(ガソリン微粒子フィルター)適合性

SASH Limitの最大許容含有量が0.90 wt%に制限されます。
SQでは、このSASH Limitが「Chemical Box」に明示的に含まれる点がSPからの重要な変更点です。
P(リン)含有量も最大0.08 wt%以下に厳格に管理される傾向にあります。

GPFの触媒活性維持と長期寿命確保のため、低灰分、低リン、Low SAPS(低硫黄)設計を維持しつつ、
エンジン保護性能を確保するための新たな清浄剤、分散剤、および抗酸化剤技術が不可欠です。

6. 低温流動特性の改善と始動保護

MRV(ミニロータリー粘度計)における低温粘度許容値が、40,000 cP未満(-35℃ @ 0W-20の場合)に厳格化されます。
また、ASTM D5293による pumping viscosityで≤4,000 mPa⋅s at -40°Cという目標値も示唆されています。

優れた低温流動性を持つ基油の採用、およびPPD(流動点降下剤)の最適化により、寒冷地でのエンジンの迅速な始動と、始動直後からの潤滑油の即時供給能力を保証し、コールドスタート時の摩耗を最小限に抑えます。

7. 新たなシール材料との適合性拡充

ACM-2, AEM-2, AEM-3, FKM-3など、より多様な最新エンジンシール材料に対する適合性試験が追加されます。

添加剤成分がシール材料に与える影響(膨潤、硬化、収縮など)を最小限に抑え、シールの完全性と寿命を確保するための適合性評価と、オイル中の成分の精密な管理が不可欠です。

ILSAC GF-7およびAPI SQが求める要件は、従来のGF-6およびSPでは対応しきれなかった、
次世代エンジンの高度な要求に応えることを目的としています。
GF-7およびSQへの適合は、高性能エンジンオイル開発における新たな挑戦であり、市場競争力を確保するための不可欠な要素となります。

Lubrizolでは上記要求に対応可能な ILSAC GF-7 API SQのエンジンオイルのDIパッケージを販売しております。
御社製品のグレードアップはいかがでしょうか。

▶Get Ready for ISLAC GF7 with Lubrizol 動画

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